20XX年○月△日、1人の女性殺人犯に判決が言い渡された。
裁判官「・・・・以上により被告人に死刑を言い渡す。」
サエコ「そ、そんな・・・」
サエコは3日前に逮捕されるまでの10年間に5回の殺人を犯し、6人を殺害していた。本人も死刑は免れないと認識していたとはいえ、実際に死刑を言い渡されると動揺を隠しきれなかった。
裁判官「執行方法については追って通知する。以上、すべての審議を終了します。」
この国での死刑執行方法は、裁判が終了してから1週間以内に死刑執行委員会が執行方法を審議し、本人に通達される仕組みになっている。執行方法の種類は一般には(もちろん)知られていないが、一般的な絞首刑からかなり残酷なものもあると言われている。
裁判を終え、サエコは2人の警官に連行されて刑務所に帰り、もと入っていた監獄に押し込まれた。
警官「ほら!さっさと入れ!!」
サエコ「痛っ!」
ドサッ ガシャーン
警官1「やっとこの殺人犯もお陀仏か」
警官2「まったくだ、こんな残酷な人間には酷刑がお似合いだぜ」
吐き捨てるように言って、警官はどこかへ行ってしまった。
サエコ「死刑・・・か・・・」
今までは殺す側であったのが、今はまったく逆の立場の殺される側。自分がどんな殺され方をするのかを考えただけで、震えが止まらなかった。
3日後の午後1時、1人の看守がサエコの部屋の前で立ち止まった。手にはなにやら手紙のようなものが握られていた。
看守「サエコさん、通達です。出てください。」
サエコ「通達・・・、ついに来たのね・・・」
別室に連れて行かれ、看守から通達が手渡された。そこには赤い字で「死刑囚488 執行内容通知」と書かれていた。あけてみると、堅苦しい文章の最後にこう記されていた。
「・・・・以上の事を考慮し、死刑囚488の執行内容は『被食刑』とする」
サエコ「え・・・?この刑はいったいどういう・・・」
看守「残念ですが、その質問にはお答えできません」
サエコ「はぁ・・・」
獄舎に戻り、もう1回通知を見直したが、どんな刑なのかよくわからなかった。
サエコ「『被食』ってことは『食べられる』ってことよね・・・。なるほど、ライオンか何かの餌にしようってわけね。
もうどうにでもしなさいよ!!」
通知書を床にたたきつけ、ベッドに入ってふて寝した。
それから3時間後、執行役らしき人が数人来て、サエコを起こした。
男「488番サエコさんですね?」
サエコ「はい」
男「執行の時が来ましたので、同行願います」
サエコ「・・・」
目隠しをされ、車に乗せられた。30〜40分経っただろうか、車が止まり、外に出るように指示された。
そこから1〜2分いったところで目隠しがはずされた。どこかの広い部屋らしいが、真っ暗で何も見えない。
男「我々の同行はここまでです」
男たちはこう言い残すとサエコをおいて出て行った。真っ暗な部屋の中で何をされるかわからない恐怖があったが、サエコは暗闇の中を歩いて回った。しばらく歩いていると何かにぶつかった。
サエコ「壁・・かしら・・・」
すると突然、全身を締め付けられるような感覚に襲われた。最初は壁が迫ってきたのかと思ったが、その壁は生暖かく、少し弾力があった。
サエコ「っく!!なによこれ!?」
懸命に押してみたがびくともしなかった。
しばらく壁と格闘していると、上から雷が落ちたかのような声が聞こえてきた。その声は以前どこかで聞いたことのある声だった。
・・・「明かりをつけて・・・」
外にいる執行人に指示したらしく、すぐに電気がついた。暗闇に慣れていたせいではじめは周りが見えなかったが、徐々に見えはじめた。サエコは目の前の現実に目を疑った。
サエコ「そ、そんな・・・」
そこにいたのは5、60mはあろうかという巨大な女性だった。しかもこの女性は、過去にサエコが殺害したはずのマミだったのだ。巨大なマミがサエコをわしづかみにして、にらみつけていた。
サエコ「死んだはずじゃ・・・」
マミ「そう。確かにあの時、私はあんたに殺されたわ」
サエコ「だったらどうして!?」
マミ「この国の技術がかなり発達してることは、あんただって知ってるでしょう?」
サエコ「いくらなんでも死んだ人間を生き返すなんて・・・」
マミ「ふふふ・・・。でも私は生き返ったのよ。あんたに仕返しするためにね!!」
サエコ「・・・どうやって・・・」
マミ「そんな事どうでもいいじゃない、今日あんたは私に殺されるんだから」
マミは残酷な笑みを浮かべてサエコを顔の前に持っていった。
マミ「執行通知書は読んだでしょう?」
サエコ「・・・ええ、読んだわ」
マミ「被食刑って書いてあったでしょう?その意味を教えてやるわ」
マミはサエコの頭をつまんで動かないようにし、サエコの頭を口の前に持ってきた。みずみずしいぷるんとした巨大な唇がサエコの前に現れた。マミはにやりとすると大きく口を開いてサエコに口内を見せた。唾液で潤い、少し粘ついた口内には自分の胴体の3〜4倍はある怪物のような舌が、うねうねと『早くなめさせろ』と言わんばかりに動いていた。サエコは今からされる事が理解できてしまい、震えが止まらなかったが、マミの口内に少し見とれてしまった。
しばらく見ていると、突然、轟音とともに両顎が閉じられた。輝く白い歯がほぼ完璧な噛みあわせで重なっていた。
バックーン!!
サエコ「ひぃ!!」
マミ「ふふふ・・・。すぐに食べちゃってもいいんだけど、それじゃ私の気は晴れないわ」
サエコ「ど、どうする気よ・・・?」
マミ「こうしてあげるの・・・」
マミは握った手を開き、その上にもう片方の手を乗せ、ちょうどおにぎりを作るような手の形にした。
手の間からサエコの顔がのぞいていた。
マミ「ふふ。こうやると苦しむあんたの顔が見れるでしょう?」
するとマミはゆっくりと両手に力を入れ始めた。はじめはもがいていたサエコもあまりの力に身動きが取れなくなってしまった。
マミ「あら、動けないの?いい気味ね。あんたはこのままペシャンコになるのよ」
サエコ「く、放しなさいよぉ・・・」
サエコは必死に抵抗を試みたが、巨大な肉の壁はびくともしなかった。しばらく力を加えていると、次第に骨がきしみ始め、サエコの顔に苦痛の表情が浮かび始めた。マミはそんなサエコを見て残酷な笑みを浮かべていた。
ミシミシ・・・・
マミ「ふふふ。いいわよぉその顔。それでこそ気が晴れるってもんだわ」
サエコ「苦しい・・・やめてぇ・・・」
さらに力を入れると、ついに骨が砕け始めた。さすがのサエコもこの痛みには耐えられず、叫び声をあげた。
バギバギィ
サエコ「ぎゃあああああああああ!!!!」
マミ「あーはははははは!!!どう?痛いでしょ?苦しいでしょ?私の味わった苦しみを思い知るがいいわ!」
その後もマミは力を入れ続けた。骨が砕けるたびに叫び声が部屋に響き渡った。サエコは首から下の骨という骨を砕かれ、もはや虫の息になっていた。マミは手を開きサエコに話しかけた。
マミ「ねえサエコ、聞こえるかしら?そろそろあんたを食べてあげるわ」
サエコ「・・・・」
もはやサエコには返事をする力は残っておらず、息をすることがやっとだった。
マミはサエコを口に放り込むと、これから自分の栄養となる人間をなめてよく味わった。そして、心の中で『いただきます』と言ってサエコを奥歯に乗せ、思い切り噛み潰した。サエコの体はちぎれ、体液が口の中に飛び散った。マミは口内のいたるところでサエコの体を潰した。前歯で噛み切り、犬歯で引き裂き、奥歯ですり潰し、舌と上顎の間でもすり潰した。やがてサエコの体は原形がわからないくらいにグチャグチャになり、唾液と混ぜられてクリーム状になっていた。マミは歯ごたえがなくなったの確かめると、そのドロッとした液体を飲み込んだ。食道をとおり、胃に入っていった。もう5〜6分するとサエコは胃液で完全に溶かされ、マミの栄養となる。
マミ「ふぅ・・・。ごちそうさま。・・・執行委員さん、執行終了しました」
この合図とともに、執行委員がマイクを通じてマミに話しかけた。
男「お疲れ様でした。ただいまより体の大きさを元に戻しますので、しばらくそのままでお待ちください。」
すると部屋全体がまぶしく光り、マミは一瞬視界が奪われた。そして気づくと元の身長に戻っていた。部屋に執行委員が数名入ってきて、マミに話しかけた。
男「お疲れ様でした。ご気分はいかがですか?」
マミ「大丈夫です」
男「最後に委員長から今後のことについてお話がありますので、同行願います」
マミ「はい」
事務室に入ると、60歳くらいの執行委員長が座っていた。
委員長「お疲れ様でした。どうぞおかけください」
マミ「はい」
委員長「今後のことですが、特にこうしてくれということはありませんが、ただ1点だけ注意してほしいことがあります。」
マミ「注意?」
委員長「ええ。今日のことは一切外部に漏らさないようにお願いします」
マミ「わかりました」
委員長「もし、外部に漏らしてしまった場合は、国家機密法違反により死刑となります」
マミ「!!」
委員長「驚かして申し訳ありませんが、そういうことですので、くれぐれも気をつけてください」
マミ「はい・・・」
委員長「私からは以上です。気をつけてお帰りください」
マミは執行場から車で家まで送ってもらった。その車の中で自分のお腹を見て、満足げな表情を浮かべていた。
マミ「(もう消化しちゃったかな?ふふふ。地獄でも苦しむんでしょうね)」
翌日、マミがトイレでした大便の中にはサエコの骨であろう白い破片が無数に含まれていた。